日常にみえるマネジメント
ビジネスの世界では頻繁に出ることば、マネジメント。それは、コントロールでも管理でもない。上手くやること、だ。
そのマネジメントは、経営するという意味・解釈もあるが、その経営するというマネジメントではなく、上手くやるという手段としてのマネジメントは、日常の中にいろいろと観ることができる。
たとえば電車の中。
筆者は、オフィス出勤の際は千葉県から東京丸の内まで電車で移動する。乗車時間は約1時間。フレックスタイムでもあるので、朝の通勤電車に乗ることも、その後の少し落ち着いた時間に乗ることもある。帰りも都心の始発駅から乗ることも、途中駅から乗ることもある。
客先訪問やオフサイトワークショップの際は、いつもと違う路線にも乗る。
さまざまな色のある路線、さまざまな色のある時間帯で、仕事柄、マネジメントと絡めて人間観察もしてしまう。
電車乗車時のルールやマナーとして取り上げられることもあるので、ここではあくまでも筆者の主観で、マネジメントの観点でお話する。
ビジネスパーソンがビジネスリュックを使うことが増え、多くの人がビジネスリュックを背負って通勤している。電車に乗る際は、背負っているリュックを、前に抱えるようにリュックの肩ひもを肩に掛けたまま背負う(胸負う?)人、網棚に上げる人、床に置く人などさまざまだ。
座席に座っているときも、前に抱えるように肩ひもを肩に掛けたまま背負う(胸負う?)状態で座る人、肩ひもを外して膝の上に乗せる人、座っている自分の左右の足の間の床面に置く人のなどさまざまだ。
この時に気になるのが、肩ひもの扱い方だ。
ほとんどの場合、肩ひもは長さを調整できるようになっており、余った肩ひもはブラブラと垂れ下がっていることが多い。そのブラブラと垂れ下がっている肩ひもが、他人に影響を与える。
たとえば、網棚にリュックを載せようとする際に、ブラブラと垂れ下がっている肩ひもが、座っている人の顔面に直撃したり、座って前にリュックを抱えているが肩ひもが左右にはみ出して隣のへ当たっていたりすることもある。
リュックを前に背負った(胸負った?)まま座るが、肩ひもが緩んで垂れ下がり隣の人に当たっていることもある。
この、リュックの肩ひもを、どう扱えているかによって、マネジメントスキルの高低を推測したりしているのが筆者だ。
余っている肩ひもがまとめられていない状態でブラブラさせているのは、マネジメントの基礎もできていない。
余っている肩ひもをまとめていてブラブラさせていないのは、マネジメントの基礎は合格。
ブラブラしている肩ひもは、上手くやろうとしても、やれないことが多い。たとえば、網棚にリュックを載せるときなどは代表例だ。
肩ひもをまとめていることで、肩ひもを上手く手なずけることはしやすくなる。しかし、手なずけられていないケースが多い。それがたとえば、座席に座った際の肩ひもの扱い方だ。座っている左右の人に影響を与えないように、自分とリュックの間にまとめて挟み込むと左右に出ることはないが、それをうまくできていない。
リュックを前に背負った(胸負った?)まま肩ひもが肩にかかったままで座り、肩ひもが緩んで左右に垂れ下がるのを上手く手なずけることができていないのも同様だ。
そう。手段としてのマネジメントは、上手くやることだ。語源は、馬を扱うことから来ているらしい。
馬を上手く扱うときに、馬の手綱が長すぎてブラブラと余った状態では、上手く扱う以前の問題だ。
適切な長さの手綱でも、扱い方によって差が出る。馬を立ち止まらせるために手綱を適切な力で適切なバランスで引く。力が強ければ急停止するだろうし、力が弱ければ止まらない。左右でバランスが違えば止まらずに進行方向を変えるだけになる。
ビジネスパーソンがビジネスリュックをどう扱えているかを電車の中で観察してニヤニヤしている筆者は、手段としてのマネジメントとして、ビジネスリュックを馬に見立てて想像を膨らませている、のかもしれない。
そして、そんな生き物である馬を上手く扱えていないのであれば、おそらくそれよりも扱いにくい人間を、人間関係を上手くやることも出来ないのだろうと。
上司や同僚のビジネスリュックの扱い方から、もしかするとピープルマネジメントのレベルがわかるのかも?