強みを伸ばすか?弱みを克服か? ①

組織の強みを伸ばすか?弱みを克服するのか?

人材開発組織開発を10年以上し続けて、よくこの話題にぶち当たる。

組織を強くするために、強みを伸ばすのか、それとも弱みを克服するのか。

筆者の所属している企業組織が支援する場合の傾向で言うと、強みを伸ばしたいとの依頼が多い。それは、強みを伸ばすための尖ったプログラムを得意としているからでもある。

では、弱みは克服しなくてもよいのか?

筆者の個人的な意見だが、弱みの克服は重要だ。

人材開発においては、強みは、たとえばよく言われる2-6-2の法則を当てはめたとすると(2-6-2の法則を全肯定はしていないが、たとえなので)、上の2に当たる人材を強み、下の2に当たる人材を弱みだとする。

上の2は、いわゆる優秀な人と認識されている人であり、その優秀な人をさらに上に上げるための人材育成などをすることが、筆者の所属している企業組織では多くある。

上の2を鍛えてさらに上に上げてゆくことで、次世代経営者をつくってゆく。

これは、やった方が良いのだろう。

経営と運営は異なる。筆者は役割的にそれを理解し体感している部分は多いが、グローバルトップ企業で経営経験のある、筆者のボスでもある八木洋介氏は、経営と運営の違いを明確に示している。

だからこそ、上の2を鍛えて次世代経営者を意識的に育てることも大切なのだ。

さて、では、下の2は、どうだろうか?

たとえば、下の2を鍛えると、その一部は、中間の6に上がる。そうすると全体のレベルは上がる。しかし、見方によると、真ん中の6が産み出す付加価値は、上の2が産み出す付加価値よりも低いと考えられる。より影響力のある上の2が強くなった方が、その波及効果も広く強くなる。そのような見方ができる。

だから、下の2よりも、上の2に投資したがる。その結果、下の2は投資されず、結果として育たない。

人材開発視点では、この考え方は違ってはいないと感じる。

では、組織開発視点ではどうだろうか?

ここで、少し対象を変えてみる。

筆者は体を鍛えている。自宅の筆者の部屋には筋トレのためのハーフラックがあり、週に3日程度はベンチプレスや懸垂、ダンベルなどで筋トレをしている。また、週に2〜3日は、オフィスのある東京駅丸の内から、自宅最寄り駅につながる数種類ある通勤電車ルートで始発駅になる上野駅まで約1時間歩いてから電車に乗る。

健康健全であるために、タバコも吸わない。腸内環境を整えることにもこだわっている。自分自身のコンディショニングにはチカラを入れている。しかし、大酒飲みである癖は時々顔を出してしまう。

そのように、完璧ではないが、体の全体を、自分の描くあり姿に向けてバランスよく鍛えることで、健康健全強靭な自分を保つことは、豊かな人生につながるし、タフな仕事にも耐えられる企業変革パートナーで在れる。

そんな筆者は、もう10年以上前に、左肩を酷く痛めてしまった。ダンベルで急激な負荷を掛けた結果、肩関節が相当悪い状態になってしまった。そして、しばらくの間は物が持てない程の状態になってしまった。当然トレーニングなんてできなかった。

数週間経過し徐々に痛みが和らいでくると、再び筋トレを開始した。しかし、痛みが強く、以前持ち上げることの出来ていたウエイトを上げることは全く出来なかった。そのため、かなり軽いウエイトでリハビリするだけになってしまった。

そうやって、左肩のために軽いウェイトだけでリハビリをすることで、本来必要な負荷でのトレーニングができなかった時期を過ごすことで、全体的に筋力が下がり、左肩の痛みが続いたことで、その低下した筋力の状態から元の筋力にはなかなか回復しなかった。

筋肉が弱いと、関節を保護することが弱くなる。肩関節は股関節のように安定して接触する構造ではなく、不安定な接触構造を複雑な筋肉ラインがバランスよく保持することで円滑な動きを実現している。野球選手が故障する「インピンジメント」は、まさにそのバランスが崩れて筋肉や筋が関節周囲の骨に挟まったりする症状だ。

筆者もインピンジメントにもなっていた。

痛いから低負荷しか上げられない、低負荷だから筋肉が育たない、筋肉が育たないから関節サポートが弱い、関節サポートが弱いから関節が痛い、痛いから低負荷しか上げられない、低負荷だから筋肉が育たない…の、負のスパイラルである。

左肩を低負荷リハビリし、右肩だけ高負荷でトレーニングすることで、全体的には重たいウエイトを挙げられるようにもなるのだが、それではなかなか左肩は育たないので、どこかで限界がくる。

たとえば、人を、人のパーツが連携して動く統合モデルとして捉えると、人はパーツが集合し協働するチームとしてとらえることができる。左肩の痛みが解消されなければ、左肩が良い仕事をすることが難しく、それは他のパーツとの協働の力にも影響する。体全体のパフォーマンスを高めるには、ボトルネックとなっている左肩を強くすることは必須なのだ。

痛みという感覚が伴った弱みを持つチームとしての自分の体、というものを、自分自身が体感し身体知として気づき学びを得たからこそ言えるのかもしれないが、企業組織でも、チーム、組織の弱いところを放置して、強いところだけを伸ばしても、全体は強くならないと感じた。

過去に、TOC(制約条件の理論、Theory of Constraints)が流行ったときは、その理論が言う「組織全体のパフォーマンスを向上させるために、制約条件つまりボトルネックに焦点を当てて改善を行うことだ」との考え方によって、ボトルネック探しをひたすらやっていた。今でも業務改善でコンサルに入るときには「突然のごとく」ボトルネックを見つけ出している。それはあまりにも当然過ぎて、すでに意識せずにやっていることでもある。

なのだが、

・・・つづく。